不妊外来から見える治療の現状(3)検査の段階から男性の受診が不可欠
大石先生の臨床体験でこんなことがあったそうです。1人で受診した女性はさまざまな検査をしても異常が発見されず、原因が不明でした。最後に夫の検査をしたところ、精子の異常が見つかり、男性側に原因があったことが判明しました。
「もし、夫婦で受診し、最初から精液検査をしていれば、原因が早く特定でき、不必要な検査をせずにすみました。女性の負担も軽くなり、時間も費用も節約できたはずです」
不妊治療を効率的に行うためにも、カップル受診は必須といえるでしょう。
男性の不妊の原因には乏精子症(精子の数が少ない)、精子無力症(精子の運動が十分でない)、無精子症(精液中に精子がいない)、精子奇形症(奇形の精子が多い)などがあります。こういった精子に異常がある原因はさまざまで、なかには手術が必要な場合もあります。
「男性不妊は不妊外来で対応できることもありますが、泌尿器科の生殖医療専門医の受診が必要となることも多い。連携して治療を行うことが重要です」
大石先生によると、日本には泌尿器科の生殖医療専門医が少ないそうです。男性の不妊治療の充実が望まれます。 =つづく
(医療ジャーナリスト・油井香代子)