HIVの新規感染報告件数…25府県が昨年1年間の累積を上回る
第51週時点での「後天性免疫不全症候群」(HIV)の新規届け出の全国総数は昨年同期比で44件多い966件。1日2.8人ペースで報告されている計算だ。26府県が前年のペースを上回っていて、うち25府県が昨年1年間の累積件数を既に上回っている。
この数字をエイズを発症する前のHIV感染者数と思う人もいるかもしれないが間違いだ。ここで言う「後天性免疫不全症候群」とはHIVの新規感染者とAIDSの新規発症者の合計数を指す。つまり、公表された数字のなかには検査と同時に「いきなりエイズ」を告げられる人が含まれているということだ。性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長が言う。
「HIVは感染してもすぐにエイズを発症するわけではありません。通常、急性期、無症候性キャリア期、エイズ期を経て発症します。なので、ここ数年思い当たるような性交渉がなくても、若い頃にさんざん遊んだという人は検査と同時にエイズ発症を告げられる可能性があります」
急性期は感染から2~4週間を指す。体内でHIVが増殖し、白血球のひとつでウイルスや細菌を攻撃する司令塔役であるCD4陽性リンパ球が次々と破壊されていく。