4月からワクチン定期接種…帯状疱疹を知る(2)20~40代の患者増加はブースター効果の激減が原因
「お年寄りがかかる病気という認識だったので、まさか自分がかかるとは思ってもいなかった」と話すのは、半年前に帯状疱疹を経験した20代後半の男性。体の片側がピリピリしていると思っていたら、赤い発疹や水膨れが出てきて、皮膚科で帯状疱疹と診断された。痛みがひどく、1週間ほどはほとんど眠れなかったという。
帯状疱疹は本来、50代以降で急激に増え、20~40代は比較的少ない病気だった。ところが2014年10月に開始した水疱瘡(水痘)ワクチンの定期接種で、水疱瘡の子供が激減し、ブースター効果を得られる機会も激減。それによって、20~40代の帯状疱疹患者が増加している(本連載1回目参照)。
ブースター効果とは、体内で一度作られた免疫機能が、抗原に再度触れることでさらに免疫機能が高まることだ。外山皮膚科(宮崎県日南市)の外山望院長が言う。
「帯状疱疹の原因となる帯状疱疹ウイルスは、水疱瘡の水痘ウイルスと同じです。水疱瘡にかかり治っても、水痘ウイルスは体内の神経節にずっと潜伏しています。そして免疫力が低下すると帯状疱疹(水痘)ウイルスが活性化して増殖し、帯状疱疹の症状が出現する。しかし子供が水疱瘡を発症すると、帯状疱疹(水痘)ウイルスに繰り返し触れることになり、その都度免疫が強化され、発症が抑えられるのです。それが今は、その機会が少なくなってしまったというわけです」