知らないうちに「骨粗しょう症」…一度骨折すれば“次”は2年以内
今から20歳代に遡って、骨密度・骨質の最大値を高くすることは不可能。しかし現在は優れた薬が登場しており、また栄養指導や運動指導で骨密度・骨量を骨折を起こしにくいレベルまで上げられる。「だからこそ重要なのは、骨粗しょう症の早期発見です。骨粗しょう症検診などで現在の自分の骨の状態を知るべき」と、日本骨粗鬆症学会理事長で、山陰労災病院院長の萩野浩医師が続ける。
「ドミノ骨折という言葉があるように、骨粗しょう症で一度骨折すると、次の骨折を起こしやすい。多くの人が最初の骨折から2年以内に次の骨折(2次性骨折)を起こすといわれているのです。また初発骨折が手関節の場合、手関節の2次性骨折の発生リスクは3.3倍。初発が椎体骨折で、2次性骨折が椎体となるリスクは4.4倍と報告されています。『骨折程度でよかったね』といった表現をよく聞きますが、とんでもない。高齢者での骨折は寝たきりや介護につながり、寿命にも影響する。とにかく骨折を起こさないよう、予防に力を入れるべき。私は脳卒中ならぬ『骨卒中』という言葉を提唱しています」
自治体による骨粗しょう症検診は、40~70歳の女性を対象に5歳刻みで実施されている。自治体によっては性別や年代を拡大している。自治体以外にも健康保険組合などで行う骨粗しょう症検診もある。骨の状態は調べない限りわからない。まずは受けてみることだ。
なお、骨粗鬆症財団の調査では、検診受診率が低い地域ほど大腿骨近位部骨折が多く、要介護になる割合が多いとの結果が出ている。