「16歳」無免許運転の悲劇が映す家庭と企業の責任
今年の1月11日未明、神奈川県川崎市で未成年の男女4人が乗る車が電柱に衝突し、運転席と助手席の2人が死亡、ほか2人がけがを負う事故が起きました。運転していたのは免許を持たない16歳の少年で、車は少年の親が経営する会社名義だったといいます。未成年者の無免許運転という衝撃的な事実に加え、家庭や企業の管理体制にも疑問を投げかける出来事となりました。
法律上、16歳でも責任能力が認められるため、事故を起こした当人が賠償義務を負うのが原則です。ところが、今回は少年が亡くなってしまったため、その義務は親が相続する形になります。ただし、相続放棄をすれば親が支払いを免れることはできます。とはいえ、会社名義の車を息子が無免許で運転していたとなれば、親の監督責任や会社の管理責任が厳しく問われるでしょう。日頃から鍵の管理をしっかり行っていたのか、無免許運転を容認していなかったのかを立証するのは容易ではありません。
さらに、自動車保険の適用は契約内容次第です。通常の保険であっても無免許運転に対応するケースはあるものの、被害者が保険金を受け取れるかどうかは契約条件や同乗者の過失認定によって大きく左右されます。もし同乗者が「無免許運転と知っていた」と判断されれば、保険金が減額されたり、補償対象外になったりすることもあるのです。