大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て
大阪・関西万博が13日開幕する。会場整備費だけで約2350億円が投じられた国家プロジェクトは、どんな「いのち輝く未来社会」を見せるのか。本番直前の9日に行われたメディアデーに参加した。
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新大阪駅から大阪メトロ御堂筋線と中央線を乗り継いで約50分。今年1月に開業したばかりの夢洲駅を出ると、目の前に万博会場の東ゲートが広がる。午後1時の開場を前に国内外の報道関係者4500人超がゲート内側にごった返した。ただ、メディアデーとは名ばかりで、フリー記者や「しんぶん赤旗」などは参加すら許されなかった。
開場から30分後、大屋根リングの設計者である藤本壮介氏が“直々”に「リングツアー」を実施したのだが、まあグダグダ。開始時刻を過ぎても藤本氏はおろか誘導スタッフすら集合場所に現れない。ヤキモキする中、集合場所から少し離れたリング下に黒山の人だかりが。慌てて駆け寄ると、知らぬ間にツアーが始まっていたのだった。
置いてけぼりをくらった約100人の報道陣をよそに、何やら解説している藤本氏。ところが、ハンズフリー拡声器の音が小さすぎて何も聞こえない。せっかく英語の通訳を用意したのに、外国人記者も「聞こえないよ」と苦笑していた。
あまりのグダグダっぷりに呆れながらツアーから離れてリングに上ると、大阪湾から吹き付ける強風が気になって仕方がない。すり鉢状のリングの最も高いところに上がっても、見えるのはパビリオンの屋根と海だけ。斜面に植えられた草花を管理するスタッフいわく、「風が強いせいで花が育ちにくい」。そのせいか、目立つのは茶色のススキばかりだ。
リング上の景色は代わり映えせず、ただただ強風ときつい照り返しにさらされる。会場自体に日差しを遮るものが少ない上、白っぽい舗装が施されているため、まぶしくてたまらない。晴れた日はサングラスに、暑さ対策も欠かせない。
海外パビリオンは参加国が独自に用意するタイプA42館のうち26館が公開されたものの、工事の遅れがそこかしこに。木造建築のイタリア館から出てきた職人に進捗を聞くと「内装がまだでね」とひと言。「えらいこっちゃ」と言いながら仕事に戻っていった。
ザッと見た限り、海外パビリオンの大半は外装が仕上がっている。ただ、プレハブ型のタイプXで参加するインド館は、入り口前の舗装すら未完成。ブルーシートや建築資材が置かれていた。
アチコチ綻びが目立つが、吉村府知事が「価値観が変わる」と豪語する大阪ヘルスケアパビリオンはどうか。さぞすてきな体験ができるのかと思いきや、一番の見どころとされる体験コーナーは開場からわずか2時間で終了。見せへんのかい!