サーモス 片岡有二社長(1)マイボトルブームを牽引する魔法瓶メーカー

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 85年、片岡は日本酸素に入社すると、魔法瓶部門に配属される。

 当時のブランド名は、日本酸素の社名からとった「ニッサン」。

「ニッサンの魔法瓶と言うと『車の会社?』、日本酸素を名乗ると『山荘?』と聞かれるくらいに知名度がなかったです」

 同社は数千億円もの売り上げを誇る産業ガス大手ではあるものの、法人向けに事業を展開してきたことから、一般消費者には無名だった。

 89年、世界的ブランド「サーモス」の買収、2001年にはサーモス事業を分社化という道をたどる中で、担当者たちは、どうすればサーモスの特色を出すことができるのかという課題に取り組む。

 その中で出てきたのが「じか飲み」というアイデアだ。

 従来の魔法瓶はコップで飲むのが一般的だった。魔法瓶業界では「熱い飲み物をじかに飲んだりすればやけどの危険がある」として、じか飲みはタブー視されていた。

 一方、サーモスでは、子供のほとんどは魔法瓶に冷たい飲み物しか入れないというデータを入手していた。

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