トラストバンク 川村憲一社長(1)衝撃的だった中国の学生の勤勉さ「いつか日本は抜かれる」
町内の回覧板で告知した。
「料金は500円にしました。当時、パンク修理は一般的に800円でした。割安だったこともあり、近くに修理してくれる店もなかったから、利用者には感謝されました。なかには中学生が頑張っているからと、1000円払ってくれる人もいました。500円という修理代は、原価からの計算ではなく、相手の期待値から考えて設定しました」
高校に入ると、ハンバーガーチェーン、家庭教師、引っ越し屋、さらにとび職と、多種多様なアルバイトを経験したという。
大学は札幌市内にあるミッション系の北星学園に学校推薦で入学した。文学部の心理学コースを選んだのは、人の経済活動と心理の関係に関心があったからだという。この頃から、いずれは経営者になりたいと友人たちに語っていたそうだ。
■中国に留学
大学3年生(20歳)の時、大学を休学し、単身中国に渡った。1993年のことだ。
「メディアが『これからは中国だ』とはやしていたので、自分も中国の生活を体験してみたいと思った。語学の短期留学という名目で行ったのですが、行った後そのまま就職先を探すつもりでした。現地で中国人を目の当たりにし、勤勉さには驚かされました。彼らは授業以外に、1日に8時間から10時間は勉強していた。いつか自分たちは中国の人たちに抜かれるんじゃないかと思いました」