派閥裏金疑獄で安倍元首相“神格化”これだけの疑問 「還流」取りやめ指示に上脇博之氏も疑問符

公開日: 更新日:

スキームを知っていたのは間違いない

 しかし、不正を把握した安倍氏が正義感から「裏金キックバック」の中止を言い出したのかどうか。安倍派関係者はこう言う。

「裏金のキックバックは少なくとも20年前から行われていて、派内では『慣習』になっていた。当然、安倍さんが中堅・若手として所属していたころから行われていたわけです。安倍さんがキックバックをもらっていたかは不明ですが、昔からスキームを知っていたのは間違いないでしょう」

 20日付のスポーツニッポンの名物コラム「永田町ウラ情報 政界噂の(秘)日誌」が興味深い。安倍派関係者が次のようにコメントしているのだ。

「安倍さんは“自分が(派閥の)会長になったんだから(裏金の)発覚に気をつけろ”と言っただけ。裏金に反対したなんてのは神格化が過ぎますよ」

 実際、安倍氏の認識はその程度ではなかったか。派閥の不記載を刑事告発した神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。

「安倍派のパーティー収入は18年の2億円台から19年に1億5000万円程度になり、20、21年に約1億円、22年は1億円を割っています。つまり、キックバックや中抜きによる裏金額が増えてきた可能性があるわけです。会長の安倍元首相が22年4月に『やり方を直せ』と強く指示したのなら、従う議員が増え、同年の収入は増えていなければおかしい。安倍元首相亡き後に、多くの議員が生前の指示を無視したというのは不自然です。実際は『やり方を直せ』ではなく『発覚しづらいやり方に変えろ』という指示ではなかったのか。安倍元首相の指示があったのかどうかを含め、疑問が残ります」

 そもそも、安倍氏の関連する政治団体は13~19年の「桜を見る会」前夜祭の収支を全て不記載にしてきた経緯がある。この問題を巡っては、安倍氏の公設第1秘書が略式起訴され、安倍氏本人の監督能力のなさが明白になった。そんな人物が正義感から「不記載はやめろ」と指示するとはとても思えないのだが。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」