中小企業の「賃上げ原資」は空っぽ…大企業の価格転嫁が進むどころか逆に後退していた!
昨年の春闘では無理をして賃上げしたが…
「9月は調査対象が大幅に増え、より実態を表していますが、微減は苦戦している企業も加わった影響もあったとみられます。より高い比率での価格転嫁が大きな課題です」(中小企業庁取引課の担当者)
中小企業は昨年の春闘で無理をして賃上げを実施した。しかし、この時の賃上げ分(労務費)を価格転嫁するのは難しい。9月調査では、原材料費の価格転嫁率が45.4%なのに対し、労務費は36.7%と10ポイントも低い。
「原材料費と違い、労務費はエビデンスを示しにくい。また、人件費は自助努力で解決すべきという“慣行”が存在する業界もあります。ただ、労務費の価格転嫁が進まないと、中小企業は賃上げの原資を十分に確保できないことになる。労務費の転嫁が進むよう取り組みたい」(前出の担当者)
中小企業の賃上げなくして、春闘の成功はあり得ない。