中国資本による日本語学校経営の功罪…「企業統治」に難、一目置くべきは「合理化」
10万人を超える日本の中国人留学生市場を相手に、事業を急拡大させる中国系の留学生ビジネスだが、急拡大ゆえの組織基盤のもろさや、企業統治や情報開示が追いつかない現状が指摘されている。特に「トップダウン型」の中国系企業には、「従業員全体の参加で社内をよりよく」の気概に乏しいところもある。
ある中国系の日本語学校の事務職は「内部組織はあまりにお粗末。すべて日本語教師に押し付けで、幹部は問題を見て見ぬふり。校内環境を向上させようという意識などほとんどない」と明かす。日本語学校を買収したはいいが、「学校づくり」「会社づくり」においては“お手上げ”のようだ。
また日本語学校の中には、中国人の日本語教師の採用を積極的に行っているところもある。「給料に不満を持つ日本人教師と入れ替わるようにして、最近多くの中国人教師が教壇に立つようになった」という話もある。
雇用までも置き換えが進んでいくのかと、ヒヤリとさせられるが、中国人留学生からは「複雑な文法は中国人教師から教えてもらった方がわかりやすい」という声も上がる。考えてみれば、日本の学校教育でも生徒は日本人から英語を学んでいる。だが、発音や助詞の使い方が不得意で、中国人教師には“日本語ネーティブ”のようにはいかないハンディもある。そこは補完関係が必要とされるところだ。