トゥエンティーワンコミュニティ 守川敏代表取締役(1)弘兼憲史が半生を書き下ろした「六本木のナイト」
4年生のころだったか、ガキ大将たちからいじめられていた友人がいた。正義感の強かった守川は登下校を共にし、一生懸命、彼を守った。彼も守川を信頼していた。ところがある時、ささいなことから、守川がその彼に手を出してしまい、顔に傷を負わせてしまったのだ。
「すぐに彼の家に行って泣きながら謝りました。自分が何であんなことをしてしまったのか。あの時もショックでしたが、50代後半になった今も悲しい思い出として残っています」
“ゆらいだ正義感”を悔いる。
小学校を卒業すると、母が教壇に立つ高水高校の付属中学校を受験し、入学する。
実は、弘兼も岩国市出身で高水学園の卒業生。守川は弘兼の20歳ほど後輩だが、共通の恩師の紹介で出会い、もう25年以上の付き合いになる。
「前々から半生を本にしないかと言われていたのですが、気が進みませんでした。それで『弘兼先生に執筆していただけるなら……』と逆指名したら、快諾してくださいました」
2人の故郷である岩国。守川は高校1年の時、その岩国を父の転勤で離れることになる。引っ越し先の東京で、守川の生活は一変する。(つづく)