富士フイルムホールディングス 後藤禎一社長(1)写真事業で培った技術で多角化を推進 5期連続で最高益を更新
これらの根幹にあるのは、写真事業で培った技術だ。
たとえば、化粧品は関係性が薄いように思われがちだが、肌の主成分であるコラーゲンは写真フィルムの原料であり、写真の色あせを防ぐ抗酸化技術は肌の老化防止に応用できるという。
また、近年力を注いでいる半導体材料においても、写真事業で培ったナノ技術などが生かされている。
こうして、写真で培った技術をもとに、樹木が成長し、枝葉を伸ばしていくかのように事業を多角化、進化させてきた。
中でも、後藤が社長になるまでの約10年間率いてきたメディカルシステム事業は、同社の屋台骨のひとつになるまでに成長している。
近年、注目を集めているのは、AI技術を活用して開発した内視鏡診断支援機能「キャドアイ」だ。病変が疑われる場所を枠で囲って医師に注意喚起をする機能が搭載されており、診断の質向上に役立っている。
また、さまざまな医療画像データを院内ネットワークで共有することができるPACS(医用画像情報システム)の自社ブランド「SYNAPSE」(シナプス)は世界トップシェアを誇る。