女帝焦らし作戦の吉凶 国の行方を決める天王山 空前の選挙戦が始まる(上)

公開日: 更新日:

懲りない学歴詐称、今後の展開

 今回の都知事選の焦点のひとつが、くすぶり続ける小池の学歴詐称疑惑だ。注目は従来通り、小池が選挙公報に「カイロ大学卒業」と記すかどうかである。

 元側近の小島敏郎氏が「文芸春秋」(5月号)で「学歴詐称工作に加担してしまった」と懺悔告白。再燃した疑惑に、小池は「私自身の卒業というファクトがすでにある」の一点張りで、学歴詐称工作については「鮮明に覚えていない」と、はぐらかしてばかりだ。ボロを出さないように具体的な言及を避けているようにしか見えない。

 ただ、裏でどんな経緯があったにせよ、大学側と駐日エジプト大使館は小池のカイロ大卒を認めてはいる。その事実を盾に今回も「正面突破」に踏み切るとみられるが、懲りずに「カイロ大卒」と明示すれば、小島氏は公職選挙法の虚偽事項公表罪にあたるとして、刑事告発する覚悟を決めている。

 本紙の取材にも、その時に備え「小池さんが学歴詐称工作に関わった証拠を全て保全している」と語っていた。

「4年前に駐日エジプト大使館のSNSを通じて発出した『カイロ大声明』により、学歴詐称疑惑はいったん鎮火しましたが、その声明には日本のジャーナリストを威嚇する文言が出てきます。エジプトのシシ政権は軍部独裁で言論弾圧は日常茶飯事。そんな国から元側近の告白通り、一種の脅迫文を出させて前回の都知事選を乗り切ったのなら、小池知事は日本の首都のガバナーを決める選挙に軍事独裁国の政治介入を呼び込んだ疑いすら生じます。この国の民主主義の根幹を揺るがす事態であり、東京のトップが軍事独裁国に首根っこを掴まれていれば外交・安全保障上も危険が伴います」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 カイロ大声明の発表以降に計上された都のエジプト関連予算は少なくとも計9700万円。1億円近い都民の血税の使い道も、今回の争点にすべきだ。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  2. 2

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ

  3. 3

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  1. 6

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  2. 7

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  3. 8

    堂本剛、松本潤、中山優馬…そして「HiHi Jets」髙橋優斗の退所でファンが迎えるジャニーズの終焉

  4. 9

    「光る君へ」一条天皇→「無能の鷹」ひ弱見え男子…塩野瑛久は柄本佑を超える“色っぽい男”になれる逸材

  5. 10

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る