女帝焦らし作戦の吉凶 国の行方を決める天王山 空前の選挙戦が始まる(上)

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 20日の告示まで1週間に迫った東京都知事選(7月7日投開票)。3選を狙うのは分かり切っていたのに、「都政に邁進しております」などとトボけてきた小池百合子知事(71)がようやく立候補を表明した。12日が最終日だった都議会定例会で「2期8年、東京に確実な変化をもたらしたが、課題が山積している。東京大改革3.0を進める覚悟を持って出馬を決意いたしました」と発言。実績はほぼゼロにもかかわらず、相変わらず口達者だ。

 ともあれ、女帝の参戦で夏の首都決戦の立候補者が出そろったわけだが、現職らしく横綱相撲をするかと思えば、さにあらず。ひと言で言うと、せこいのだ。

 当初は定例会初日の先月29日に出馬表明すると水面下でアナウンスされていた。前日には都内の首長52人が出馬を要請。本人は否定しているものの、小池側の猛プッシュに押されて「3選待望論」の演出に加担したのは周知の事実だ。スッタモンダあって結局、2週間も先延ばし。この間、マスコミや世論の注目を最大限引きながら精を出していたのは、公務を利用した票集めだった。公職選挙法が禁じている告示前の「事前運動」のニオイがぷんぷんする。

 都内の保育園を視察し、小池に全く関心を示さないキッズはお構いなしに「チルドレンファースト」をアピール。世界禁煙デーに合わせた東京スカイツリーの点灯式には、コロナ禍で顔が売れた都医師会の尾崎治夫会長らと出席し、尾崎から「医療関係団体すべて、あるいは介護の団体、小池知事に引き続きやってもらいたいと、皆さんそう思っていると思う」とお墨付きを引き出した。

 極めつきはバラマキである。「物価高騰対策臨時くらし応援事業」と銘打ち、住民税非課税など約190万世帯に1万円分の商品券や電子ポイントを配布。14日以降、対象世帯に順次通知する手はずになっている。そろそろ円安物価高の波がまた来るとはいえ、露骨な選挙買収だ。圧勝のためには手段を選ばない。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「都知事選は小池氏と、立憲民主党を離党した蓮舫参院議員(56)による事実上の一騎打ち。与野党対決の構図ですが、互いに支援組織を隠し、無党派層の票積み上げを狙っている。それが吉と出るか凶と出るか。1100万人超の有権者からは緑のタヌキと赤いキツネの化かし合いに見えやしないか」

 独自候補の擁立を断念した日本維新の会も小池支援に乗り出す可能性が濃厚。空前の選挙戦の火蓋は切られた。

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