楽天がNO…マー君残留なら「怒りや不快感が投球に影響」と識者
しかし、メジャー移籍の夢が実現しなかった“反動”はないのか。
「気になるのはメンタルではなく、むしろ無意識に出てくる球団への怒りや(オーナーの)三木谷さんへの不快感です。いくらメンタルが強くても、人間というのは過去に嫌な思い出があると、大きな場面、緊張する場面にその嫌なことを思い出してしまう習性があります。野球はチームスポーツで、選手はみな、チームの勝利への強い意識を持って戦いますが、今回の一件で田中選手のチームへの思い、愛着は確実に弱くなってしまう。しかも、最初はメジャー行きを容認していた球団が一転、お金の問題で慰留に動いたわけですから、球団、三木谷オーナーへの不信感は相当なもの。それが、いざという時のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性はあります」(斉藤氏)
20年ほど前、まだ入札制度ができる以前の話だ。近鉄が「任意引退」扱いで野茂英雄のメジャー移籍を認めた理由のひとつは、野茂本人の気持ちの問題だった。当時のフロント幹部は「嫌がる馬に無理やり水を飲ませることはできない」と言った。比喩が的確かどうかはともかく、本人の熱い気持ちに冷水をぶっかければ、翌年の働きも期待できないと判断したからだろう。
田中が残留なら、来季は「抜け殻」になってしまう可能性もあるのだ。