藤原正彦氏がピタリ言い当てた日本サッカーが勝てない理由
■親も子供もセンターバックに興味を持たない現状
このコラムを読んだサッカーライターの平野史氏はこう語る。
「確かに日本選手はダッシュ力が弱い。ドリブルで切り返されると、1、2歩で振り切られてしまう。守備陣に関して言えば、優秀なセンターバック(CB)がいない。15年ぐらい前から一流のディフェンス陣、とくにCBの3大要素として、<1>背が高い(180~185センチ以上)<2>ボールの扱いがうまい<3>スピード、と言われるようになった。日本のCBといえば、前代表の中沢(佑二=横浜Fマリノス=187センチ)や吉田麻也(サウサンプトン=189センチ)の名前が挙がる。彼らは身長はあってもスピードに欠ける。だから相手の動きを読んで先手を打ったり、体を当ててファウルギリギリのプレーでしのぐのですが、世界の強豪相手には通用しない。足の速い選手と競り合えば置き去りにされてしまうのが現状です」
ならば、なぜ日本にはスピードのあるCBが育たないのか。育てようとしないのか。
「サッカー協会もその点は認識している。10代前半の選手を集めて合宿をすれば、背が高く、当たりも強い選手には、『CBをやってみないか』と説得している。でも、親が子供を中盤の選手に育てたいという意向が強く、子供自身もCBに興味を持たない。W杯ブラジル代表CBはアフロへアが代名詞のダビドルイス。彼は前線まで駆け上がり、コロンビア戦では無回転のフリーキックも決めて強烈な印象を与えた。サウサンプトンの吉田がプレミアリーグで大活躍すれば、『僕もCBをやってみようかな』という子供もきっと出てくる。多くの子供がCBをめざし、底辺が広がった中から優秀な選手を選ぶようにならなければ、スピードのあるCBは出てこないでしょう」(前出の平野氏)
やっぱりアギレを呼ぶだけじゃ、日本の致命的欠陥はどうにもならないのだ。