<第14回>兄の背中を追うように野球を始めた

大谷の実家のある水沢から盛岡方面へ、国道4号を車で15分ほど北上すると、東西に胆沢川が流れている。
大谷が父・徹(52)に手を引かれるようにして、その河川敷のグラウンドに足を運んだのは小学2年生の晩夏、辺りのススキがうっすらと茶色に色付き始めたころだった。
週末のグラウンドでは水沢リトルの選手たちがプレーしていた。胆沢川の水沢側の河川敷。長方形の敷地にグラウンドが2面。その奥を低学年のバンディッツ(山賊)、手前側を高学年のパイレーツ(海賊)が使っていた。
大谷は自分と同じ小学生たちが、緑やオレンジ色のユニホームを着て硬式ボールを追い掛ける姿を食い入るように見つめていた。
徹から「どうだ、おまえもチームに入ってみるか?」と水を向けられると、「うん、入る」と二つ返事で答えた。
「好奇心もあったでしょうし、楽しそうにやっているのを見て、自分もやってみたいと思ったのでしょうね」
こう話す徹は、大谷に一方的に野球を勧めてはいない。
「自宅で翔平と一緒にナイターを見ることはありましたが、基本的にそんなに野球と言ってたわけではない」
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