ベイ快進撃の陰に川村投手コーチ 権藤氏が「知性ある」と評価
■尊重する中畑監督にも度量がある
そう推察するのは、彼が球界きってのインテリジェンスの持ち主だからである。神奈川県内有数の進学校である県立厚木高から、一般受験で立教大に進学。日本石油を経てドラフト1位で横浜に入団してきた97年、私はバッテリーチーフコーチだった。しなやかなフォームから繰り出す、きれいな回転の伸びのあるストレートに一目惚れしたのはもちろん、1年目から横浜投手陣の中心になれると思ったのはやはり、クレバーさが際立っていたからだ。
私の監督初年度には、入団2年目の川村を開幕投手に抜擢した。実績なら三浦大輔、経験なら野村弘樹(現評論家)もいた。前年は3人揃って10勝。みなに開幕投手の資格はあったが、川村抜擢の理由を当時の担当記者に聞かれて、私は「アイツにはインテリジェンスがある」と即答したものだ。
真面目で視野が広く、少々のことではジタバタしない。抑えて淡々、打たれてニヒルな笑みすら浮かべる姿は、ベンチで見ていて頼もしかった。そうした自分の振る舞いが相手に重圧を、味方に安心感を与えることが分かっていたのだ。