“本家”権藤博氏が苦言 ベイ「マシンガン打線」襲名まだ早い
懐かしい響きだ。開幕12試合を終えて8勝4敗でセ・リーグの単独首位、DeNAベイスターズの好調を伝えるスポーツ紙の記事に、「マシンガン打線」という見出しがついていた。
チーム打率.287、52得点はともにリーグトップ。ベイスターズにこの時点で貯金があるのは、私が指揮を執っていた00年以来15年ぶりのことだそうで、確かに当時のチームは打線の破壊力に注目が集まった。在任3年間のチーム打率は、いずれも.277以上。99年は当時のプロ野球歴代1位となる.294(現在は2位)をマークして、他球団に「マシンガン打線」と恐れられた。
しかし、監督の私には打撃のチームをつくる気など毛頭なかった。つくったつもりもない。腐心したのは、あくまで「投手を中心としたディフェンス力の強化」。98年のリーグ優勝、日本一もディフェンス力のたまものだと今も思っている。
■本当の強力打線は投手陣がつくる
実際、当時は接戦が多く、相手の攻撃をしのいでしのいでいるうちに打線が爆発する、という展開が実は多かった。強力打線といっても、ノーガードの打ち合いを制しているうちは、まだアテにはできない。ここまでのDeNAの戦いを見ていると、今年も打高投低の傾向が顕著だ。投手陣が1失点で踏ん張った昨9日の阪神戦はともかく、活発な攻撃陣に比べて、チーム防御率は前日まで4.05。被安打数を調べてみたら、12試合で108本と1試合平均で9安打を許している。これだけヒットを打たれると、締まったゲーム展開にはなりにくく、それは相手の投手にも伝染する。乱打戦は、こっちも相手もバッテリーの集中力が削がれるから起こるわけで、そんな試合を何度やったって、打線に本当の力、怖さは身につかないものだ。