<第1回>約70人のケニア人を連れてきて3人が五輪メダル
そう小林氏に訴えたワンジルはトヨタを退社。故郷・ニャフルルで練習に励んだ。小林氏は語る。
「この辺が、年収が保証されている日本のサラリーマンランナーとは違う。五輪でメダリストとなり、アピアランスマネー(出場料)がもらえるマラソン大会に出て、賞金を稼ぎまくる。お金に関してはすべてに貪欲なんだ」
そのワンジルは5年前、24歳の若さで事故死した。
「死人に口なしだけどね。北京五輪後は、ニャフルルを訪ねる得体の知れない連中のエジキにされたよね。その点、私は一度も選手が稼いだ金はピンハネしてない。岡さんも知ってるだろ……」
小林氏の話は尽きない。
(構成=ルポライター・岡邦行)