大会新連発 広陵・中村奨成はプロでも清原を超えられるか
仮にスイングに問題があるなら修正すれば済む話だが、中村の選球眼に関してクビをひねるのは、在阪球団のあるスカウトだ。
「甲子園での中村はボールの見極めが甘いように見えたのです。高めのボール球だったり、ワンバウンドする変化球にバットが出てしまう傾向があった。高校時代の松井や清原は、間違ってもベースの手前でワンバウンドするような変化球に手を出したりはしませんでしたからね。やっかいなのは、選球眼は天性の部分が大きいこと。パワーやボールを正確にとらえる技術は、プロに入ってからのトレーニングや練習次第でアップしますけど、肩の強さや足の速さ、ボールの見極めはなかなかねぇ……」
各都道府県を勝ち上がってきたとはいえ、甲子園で戦った相手は高校生だ。おまけに今大会は、特に「投手が不作」といわれた。昨年の37本を大幅に上回るどころか、大会記録だった2006年の60本を塗り替える68本もの本塁打が飛び出したのも、投手のレベルと無関係ではないだろう。
しかも、中村が次に勝負するステージは大学と社会人を飛び越えてプロだ。投手のレベルは高校生と段違い。いくら素質はケタ違いでも、高校時代の清原や松井になかった“弱点”を抱えた高校生が、いきなりこの日の「悔しさ」を晴らせる保証はどこにもない。ましてプロ1年目から清原同様に活躍するとみるのは早計だ。