春の王者が夏に勝てるには「挑戦者のように相手校を徹底的に研究するしかない」
夏の秋田大会で第1シードの明桜が初戦で金足農に敗れる波乱が起きた。金足農も昨秋の県優勝校だから、番狂わせではないが、春の県王者はライバル校の標的にされるため、しばしばこんなことが起こる。
春で得られる自信はプラスだが、高校生だけに「春勝ったんだから夏も大丈夫だろう」という慢心も生じる。このマイナス面が大きい。
横浜での指導者時代では、1991年から3年連続夏の神奈川大会決勝敗退という苦しい時代があった。このうち、92年は春の県王者として自信を持って臨んだが、決勝で元巨人監督の高橋由伸が2年生だった桐蔭学園に、2年連続で敗退。春は決勝で桐蔭学園に勝っていたのに、夏は勝てないのかーー。夏の決勝は投手起用を巡って渡辺元智監督と口論になったため、今でも苦い思い出として覚えている。
2000年以降、横浜は夏の甲子園に12度出場しているが、県大会の春夏連覇は04、16、18年の3度だけ。裏を返せば、残りの9度は春は負けても、夏は勝って甲子園に出場していることになる。
他校の指導者に「春の県王者として標的にされる中、どうしたら夏も勝てるのか」と聞かれることがある。これには、自分たちの野球をやるのは当然として、「挑戦者のように相手校を徹底的に研究するしかない」と答えている。