すっきり目覚めたい!睡眠習慣を整える本特集
「一日の休息を最高の成果に変える 睡眠戦略」角谷リョウ著
じめじめと寝苦しい日が続き、睡眠に頭を悩ませる人も多い梅雨時季。今回は、ハウツー本からメカニズム解説書まで、睡眠にまつわる4冊をご紹介。就寝前に読んで、毎朝すっきり起きよう!
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「一日の休息を最高の成果に変える 睡眠戦略」角谷リョウ著
「自分を成長させたいとき」や「家族との時間を大事にしたいとき」など、それぞれが置かれている人生の状況は千差万別。よって、状況に応じて睡眠も戦略的に使い分ける必要があるのだ。
たとえば、「小学校低学年ぐらいまでの子どもがいて、寝かしつけが必要」な人がとるべき戦略は、「黒柳徹子の二分割睡眠戦略」。午後9時ごろから3時間眠ることで日中の疲れから回復し、フレッシュな状態で深夜に3時間活動する。その活動の疲れを回復するために朝まで3時間寝ることで、すっきりと起床できるのだ。夜中の作業時間はテレビなどの誘惑も少なく、電話やメールに邪魔をされることもないので、自分のやるべきことに100%集中できる。自分のための時間をとることが難しい子育て期でも、趣味や資格試験に費やせる「無敵の3時間」を手に入れられるのだ。
そのほか「超一流へぐんぐん成長↑大谷翔平の長眠戦略」など、自分の可能性を最大化する7つの眠り方を紹介する。
(PHP研究所 1980円)
「回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる」アリ・ウィッテン、アレックス・リーフ著 加藤輝美訳
「回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる」アリ・ウィッテン、アレックス・リーフ著 加藤輝美訳
睡眠障害の原因の多くは体内時計の機能不全にある。体内時計が狂ってしまうと睡眠だけでなく、気分やホルモンのリズムなどさまざまな活動に悪影響が及ぶ。
アメリカでは成人の約30%が6時間の睡眠を取れていないことが研究で明らかになっており、多くの現代人が不眠を抱える。これは、多くの人の「体内時計」が機能不全に陥っていることを意味する。私たちの体内時計は、太陽の周期に合わせて活動していた祖先と変わらない。つまり、現代的な生活が人間の元々の設計に適応していないのだ。
この体内時計に大きな影響を与えるのが「食事」。特に重要なのは「何を食べるか」ではなく「いつ食べるか」。「脳」が休むべき時間に消化器をはじめとする「体」も休息させるために、朝食から夕食までの時間を10時間の枠に収めると睡眠の質が改善するという。
エネルギーをつかさどるミトコンドリアに着目して、睡眠や食事から「回復」にアプローチする全米ベストセラー。
(サンマーク出版 1760円)
「50歳からのこれでグッスリ!!眠りの習慣」保坂隆著
「50歳からのこれでグッスリ!!眠りの習慣」保坂隆著
ぐっすり眠れない悩みを持つ人は多いが、年を重ねたら睡眠量が減るのは当たり前。年齢とともに脳の機能が弱まるため、「覚醒」状態も「睡眠」状態も長時間維持するのが難しくなるのは「自然なこと」だと著者は言う。
中高年になってからは、睡眠の長さを気にするよりも睡眠の「質」を意識した方がいい。「長く眠らなければ!」という強迫観念を持ってしまうと、ノルアドレナリンが分泌されて、反対に睡眠が妨げられてしまうのだ。
そこで簡単に睡眠の質を向上させられるのが、マットレスを選びなおすこと。低反発マットレスは「寝心地はいいが寝返りを打ちにくい」、高反発マットレスは「寝心地は硬いが寝返りを打ちやすい」という特徴の違いがある。それを踏まえて、腰痛の人は前者、朝すっきりと目覚めたい人は後者のマットレスが適している。
ほかにも「シニアのための快眠ウォーキング術」や「寝る前に笑う」など、自分に合った「眠りの質を高める方法」を見つけられるはず。
(小学館 1595円)
「眠っている間に体の中で何が起こっているのか」西多昌規著
「眠っている間に体の中で何が起こっているのか」西多昌規著
現代の睡眠医学で、重要とされているのは、計測された睡眠時間や質ではなく、どれだけ体が休まったと感じるかを自己評価した「睡眠休養感」だ。理想の睡眠時間は個人差が大きく、明確な答えは現代医学でも出ていないが、「割り切ってあまり考えすぎない方がいい」ということは明確になっている。
また、睡眠の影響は充足感だけにとどまらない。スウェーデンの研究では、25人の顔写真を、睡眠不足時と十分な睡眠を取ったときで2通り撮影した。それを125人に見せて印象の評価をさせたところ、「睡眠不足の顔の人とは付き合いたくない度合いが強い」ことがわかった。皮膚の毛細血管の血流が下がってしまうことで顔色が悪くなり、人から避けられやすくなる。寝不足によって社会的に孤立する危険があるのだ。
睡眠時に起こっている体の変化を脳だけでなく、泌尿器系や循環器系まで子細に分析し、睡眠の意義を探る。
(草思社 2200円)