日本式キャンプの無意味さ 10年ぶり巨人復帰の上原が証明
何しろ、上原はキャンプをやっていない。カブスからFAとなり、当初はメジャー球団との契約を目指していた彼は、自主トレをしながらオファーを待った。日本では週5日、1日5時間の練習を行っていたといっても、そこは自主トレである。できることは限られたはずである。それでも9日に巨人入団が正式決定すると、2日後には二軍で打撃投手をやった。20日に一軍に合流し、すぐにオープン戦に登板する予定だというから、日本球界の常識では考えられないスケジュールで開幕に向かっている。
ただ、メジャーではこれが当たり前。例えば大谷が移籍したエンゼルスは、バッテリーが2月14日にキャンプインし、わずか9日後にはオープン戦が始まった。
自主トレの段階でおのおのが実戦を戦える状態に体を仕上げ、キャンプはチームプレーの確認程度。どこのメジャー球団もほぼ同じスケジュールで開幕に臨む。
私は以前から、日本式のキャンプに異を唱えてきた。2月1日に12球団が足並みを揃えてキャンプを始め、朝からランニング、キャッチボール、ノック、投球練習や打撃練習とみなが一緒に与えられたメニューをこなすことにどれだけの意味があるのか。それも、1カ月間も延々と。やる方もやらせる方も、それが当たり前だからと、何の疑問も持たずに淡々と変わらぬ日常を過ごすくらいなら、選手が自分で考え、工夫せざるを得ない環境をつくった方がいいに決まっている。