人命救助に一役…さらに株を上げた境川親方の人柄と評判
昔気質で一本筋が通っている――。角界における境川親方(57・元小結両国)の評判だ。
6月10日早朝、自殺を図って川に飛び込んだ女性を、境川部屋の力士たちが総出で救助。境川親方は、近くで助けを求める男性の大声に気付くと、即座に弟子たちを現場に向かわせたという。
メディアの取材に「当然のことをしたまで」と言葉少なだった境川親方は、日大出身で現役時代は出羽海部屋に所属。最高位は小結だが、主戦場は平幕。千代の富士からは金星を3つも獲得している。
引退後は年寄「中立」を襲名し独立。その後、師匠だった元横綱佐田の山と「境川」の名跡を交換した。
ある親方は「権力者に頭を下げるのが大嫌いなタイプ」と言う。
「学生相撲出身の親方は、母校の大学から新弟子を取るケースが多い。ところが、境川部屋には日大出身力士がほとんどいない。これは日大のドンで元相撲部総監督の田中理事長夫妻とうまくいっていないからです。あそこは奥さんの力が強く、日大出身の親方たちは奥さんにも定期的な挨拶や付け届けを欠かさない。でも、境川さんはそういうのを嫌って一切やらないから、日大の有望な力士を回してもらえない。そもそもスカウト活動に熱心な方ではなく、どちらかと言えば親方の人柄を慕って入門する力士が多い。豪栄道(現武隈親方)もそうだし、妙義龍は千代の富士が師匠を務める九重部屋の誘いを断り、『境川親方の人柄で決めた』と話していた」