プロ野球開幕で改めて実感 阪神和製大砲出現への険しい道
プロ野球がなんとか開幕した。早速、ソフトバンク・柳田悠岐やヤクルト・山田哲人、広島・鈴木誠也といった当世を代表する大スラッガーたちが豪快なホームランを放ち、あらためて野球における長打の魅力を感じさせられた。3人とも千両役者だな、と思う。強烈な弾丸ライナーも、美しい放物線も、彼らが放つそれは華が違う。
一方、我が阪神にはそういう千両役者たる生え抜きの和製大砲が掛布雅之引退以降、30年以上も現れない。ただし、その潜在能力を期待されたものの、大成せずに終わった「未完の大砲」なら過去に何人も現れた。そこで前稿では2000年以降の未完の大砲を振り返ったわけだが、これはその前の90年代にも当てはまる虎の傾向だった。
■期待の高校生も巨漢選手も不発
まず思い浮かぶのは、なんといっても91年のドラフト1位・萩原誠だろう。彼については過去に何度か取り上げたので詳細は割愛するが、背番号31を与えられたことからもその期待値がよくわかる。しかし、高校時代は世代屈指の長距離砲として知られた萩原もプロでは中距離打者の域を出ず、二軍では93年に打点王、96年に首位打者を獲得したものの、一軍では大成しなかった。