ソフト甲斐は連覇“陰の主役” 急成長に一通のファンレター
MVPの栄誉は後輩の栗原に譲ったが、甲斐拓也(28)の尽力も忘れてはならない。
日本シリーズでは2本塁打を放つなどバットで活躍すると、捕手としても4戦通してひとりで投手陣をリード、巨人打線を封じた。
中でも主力の坂本をシリーズ打率・214、岡本を同・077とシャットアウト。坂本には昨年の日本シリーズでの内角攻めの効果が今回も生きていると知り、外角中心の配球。岡本には執拗な内角攻めで打撃を崩させた。
今でこそリード面も高く評価される甲斐だが、かつてはそうではなかった。
ある球団OBは「盗塁阻止にこだわりすぎていた」と、こう話す。
「ちょうど『甲斐キャノン』ともてはやされていた時期ですね。盗塁を刺したいあまり、一塁に走者がいると、捕球した後に送球しやすいコースと球種ばかりを投手に要求しがちだった。右打者なら外角の直球などです。結果的にリードが単調になっていた」
そこから現在に至るまでは、本人の努力と研究もあったのだろう。グラウンド外で苦い経験もしている。