山縣亮太100m9秒95で日本新 度重なる怪我が生んだ記録更新
「ついに出ましたね」
その一報に、スポーツライターの高野祐太氏はこう言った。
陸上の布勢スプリント(鳥取・布勢総合運動公園陸上競技場)の男子100メートル決勝で、山縣亮太(28)が9秒95の日本新をマーク。サニブラウン・ハキームの持つ9秒97を100分の2秒更新した。
予選の山縣は今季国内最高の10秒01(追い風1.7メートル)の走りを見せ、さらに追い風(2メートル)が強くなった決勝では得意のスタートからグングン加速。課題とされてきた後半もスピードが落ちずにゴールした。
「ずっと9秒台を出したいと思っていたので、出せてよかった。(東京五輪参加標準記録=10秒05を突破できて)肩の荷が下りた。日本選手権(24日開幕・大阪)で3位以内に入り、五輪の出場権を取りたい。五輪で勝負したい」
前出の高野氏が言う。
「山縣選手はロンドン、リオと五輪は2大会連続で100メートルに出場しているが、これまで腰痛、右足首靱帯断裂、右ひざ痛などのケガに苦しみ、一昨年には肺気胸で日本選手権も棄権した。東京五輪の切符を取れるのかと不安視する声もあったようだが、今季のレース映像を見ると、得意の前半加速も強烈になっている上に、後半のゆったり感が際立ってきたと感じていた。東京五輪参加標準記録も、期限の迫る中で可能だと感じていました」