<12>富士急の看板と「黄色いジャンパー」の重圧に苦悩した
「いやあ、疲れが残っちゃって」
何を聞いてもパッとしない返答だった。今思えば、女子選手の先輩としゃべるくらい余裕があるってことはそれくらいってことかな、と。当時、トップの選手たちは周囲の人に話しかけることはしなかったし、話しかけられない雰囲気だった。
日大も富士急もスケートでは有名な「ブランド」のあるチーム。私は自分のレベルがあまり高くなかったにもかかわらず富士急に入社。しかも、同期入社はゼロだった。富士急の看板と実力のギャップに葛藤する日々。チームの黄色いジャンパーを着るだけで、その重圧に潰されそうだった。見合う選手になるまで、もう少々お待ちくださいませ……と焦る毎日だったのを思い出す。
日大もそのブランドや名前に苦しんでいる選手がいるかもしれない。今回の事件で活動費が削減されたり、学費の免除がなくなったりすれば、さらに競技人口は減る。成績を上げて悪いイメージを払拭し、きちんと大学にモノを言えるようにしなければいけない。
■デートすると監督から尾行され…