<19>4年に1度のテレビ解説 高木美帆選手のすごさを再確認した
ゴール直前の大きなカーブの出口ではもう膝が上がっていて、低い位置をキープできていなかった。膝が上がると前に進まなくなる。なおかつ、一緒に滑る相手も遅いから厄介だった。相手が前にいれば追いかける目標があるが、誰もいない。優勝したブストとの直接対決であれば、いいタイムと結果が出たかもしれない。
■30年前の恥ずかしい過去
なんて、偉そうに中長距離について解説しているけど、私には美帆選手のような持久力は全くなかった。富士急に入って間もない18歳の頃、全日本選手権で3000メートルを走ったことがある。即、足にきて膝の位置は上がり、ラップタイムは散々。残り4周になった頃、ラップ板を出していた長田監督がいない。あまりの遅さに呆れて出すのをやめて帰ってしまった。他のチームの監督たちは「長田さん帰っちゃった! 岡崎が置いてけぼりになっている!」とザワついていた。
タイムは5000メートルを走っているのかというほどの遅さ。その場を去った監督を見ながら、ちょっと待って! 私も帰りたい! と思ったくらい恥ずかしかった。
3000メートルを滑ったのは後にも先にもその1回だけ。長距離の力をつけるのが容易でないことを痛感し、出たことを後悔しただけだった。5種目で五輪のメダル争いができることがいかにすごいのか、私は身をもって知っている。