女子団体追い抜きは涙の銀…高木菜那の転倒はなぜ起きた?元五輪代表が4つのポイントを指摘

公開日: 更新日:

「やっぱり最後、転倒がなかったら優勝できたかもしれないタイムだったので、悔しいです」

 高木菜那(29)は、こう言って大粒の涙を流し、嗚咽した。

【写真】この記事の関連写真を見る(16枚)

 北京五輪スピードスケート女子団体追い抜き、15日の決勝戦。五輪連覇を狙った日本は、まさかの展開でカナダに敗れ、銀メダルに終わった。

 平昌五輪以降、さまざまな戦術を試行錯誤した上で、金メダルを取った前回と同様に3度の先頭交代をしながら、新たにレース終盤に後ろの選手が前の選手のお尻を押しながら滑る「プッシュ」を活用する「ハイブリッド型」で臨んだ。

 スタートから日本ならではの整った隊列を維持。先頭交代もスムーズだった。残り2周の時点でカナダに0秒86差をつけ、金メダル目前となったラスト1周で悲劇は起きた。

1回戦から3人で滑り切った日本にはやはり疲労が

 最終コーナーに差し掛かったところで最後尾を滑ってい高木菜那がバランスを崩して転倒。残り100メートルで連覇の夢が散った。共に滑った妹の高木美帆、佐藤綾乃、そして控えの押切美沙紀は涙に暮れた。銀メダル獲得により高木美帆は日本女子歴代最多となる6個目のメダルを手にしたものの、「(先頭を走った)最初の方にもっとチームにリズムをつくれたんじゃないか」と目を真っ赤にして悔しさをにじませた。

「スタートから流れが良く、3人とも平昌五輪時とは比べものにならないくらい力をつけているだけに、まさかという感じです」とは、2010年バンクーバー五輪・スピードスケート男子代表の土井槙悟氏。

「菜那選手の転倒はいくつかの要素が重なり合ったものだと思います。転倒前の3人の滑りは、先頭の美帆選手にも足の疲れがあったのか、前が詰まっている感じに見えました。菜那選手は隊列のバランスをとるため、手で前の選手を押して距離感を取ろうとした際にバランスを崩したのではないか。カナダの追い上げにより、コーチからの指示も耳に入る。精神的な重圧もあったはずです。そして、菜那選手が体勢を持ち直すことができず転倒したのは、足の疲労が原因でしょう。昨年12月のW杯(米ソルトレークシティー)の決勝最終周の時と同じような転び方でした。足が疲れていないと、後ろにひっくり返るような転び方にはならないものです」

 最終周で先頭を滑った高木美がいくらタフだといっても、個人戦を含め5種目7レースを滑るハードスケジュールが影響している可能性は否めない。

 前出の土井氏は、「あくまで結果論ですが……」と前置きした上で、こう続ける。

「日本は1回戦から最後まで3人で滑り切りました。この日は、決勝の直前に準決勝も戦った。準決勝の相手だったロシア(ROC)が3位狙いのような滑りで、日本も3周目くらいから流したような形になったとはいえ、少なからず疲労につながったと思います。平昌五輪では準決勝で佐藤選手の代わりに4人目の菊池彩花選手が滑った。菜那選手は厳しいポジション。作戦ミスとまでは言えませんが、控えの押切選手を活用するなど、もっと余裕を持って決勝に臨めたのかなという思いはあります」

 高木美は17日の1000メートル、高木菜は19日のマススタートで、やり返すしかない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    「羽生結弦は僕のアイドル」…フィギュア鍵山優真の難敵・カザフの新星の意外な素顔

  2. 2

    日本のアスリートと「向学心」に雲泥の差…《エリート選手に勉強不要》は世界の常識からズレている

  3. 3

    私は何度でも嫌われ役を演じる覚悟です。エキスポ駅伝の開催前に「吠えた」理由を話します

  4. 4

    羽生結弦「30歳の挑戦」…プロ転向から2年半「毎回五輪での記録を更新する気持ちでやっています」【独占インタビュー】

  5. 5

    男子フィギュア「表現力とスケーティング」の鍵山優真が「4回転の神」マリニンを凌駕する条件

  1. 6

    貴ノ浪が43歳で急逝 横綱・大関は「寿命が短い」本当の理由

  2. 7

    宇野昌磨にはハイレベルすぎる「羽生結弦のモデルケース」…アイスショープロデュースを発表も

  3. 8

    世界陸上が終わってからが正念場…国立競技場は民営化で「稼げるスタジアム」に変貌できるのか

  4. 9

    JOC山下泰裕会長の療養離脱からはや1年…三屋裕子代行でも“無問題の大問題”

  5. 10

    【箱根駅伝】国学院大「初優勝で3冠」なるか…阻むのは経験値高い青学大か、それとも駒大か? 元早大監督が読む

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  3. 3

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  4. 4

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  5. 5

    フジ反町理氏ハラスメントが永田町に飛び火!取締役退任も政治家の事務所回るツラの皮と魂胆

  1. 6

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  2. 7

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  3. 8

    女優・佐久間良子さんは86歳でも「病気ひとつないわ」 気晴らしはママ友5人と月1回の麻雀

  4. 9

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  5. 10

    “下半身醜聞”川﨑春花の「復帰戦」にスポンサーはノーサンキュー? 開幕からナゾの4大会連続欠場