まだ元気で投げられるとアピールしたくて巨人とのオープン戦での登板を直訴
仰木監督に代わって1993年のシーズンから近鉄の指揮を執ったのは鈴木啓示監督だった。
93年は主にリリーフで計22試合に登板して1勝3敗、防御率6.93。翌94年はシーズンの大半を二軍で過ごし、わずか6試合で0勝2敗、防御率12.19だった。
いまにして思えば結果が出ないから出場機会もガクンと減ったのだろうが、この2年間の記憶はあまり残っていない。なにしろ野球をやっている感じがしなかった。1年目に22試合も投げた印象がないし、何をやったら認められるんだろうなどと毎日、ストレスを抱えて球場に行っていた気がする。自分の中ですべてがうまく回らなかった。
■調子が悪い時は「コメや」
鈴木監督は現役通算317勝を挙げた近鉄生え抜きの大投手、昔かたぎの指揮官だった。
「ピッチャーは体を冷やしたらアカン。長袖を着るのは当然で、クーラーなんかもってのほか」「調子が悪いときはコメや。投げ込め、振り込め、走り込め」「アップシューズやなくスパイクを履いて走れ」と言った。