渦中の高橋治之氏は八木JOC会長急逝の混乱に乗じてスポーツの表舞台に現れた
私の手元にあった極秘メモに日本オリンピック委員会(JOC)役員人事に関わる情報が詳細に記されていたのを思い出した。そのメモはJOCの裏方の中心にいた人物から預かったものだ。そこに高橋治之氏が登場していた。東京2020組織委の理事であった渦中の同氏である。
2001年、JOC会長八木祐四郎氏が急逝した。突然の事態にJOC内は右往左往するが、次期会長職には国際オリンピック委員会(IOC)委員であった竹田恒徳氏の三男、馬術のオリンピアンであった竹田恒和氏が候補に挙がった。
JOCトップの座はスポーツ界役員の間では誰もが密かに憧れる頂点の一つである。その地位のためにさまざまな裏工作が繰り広げられる。この時もそうであった。
最後はJOC元会長の堤義明氏の推しで竹田氏が会長になる。しかし、竹田氏には就任の条件があった。報酬をもらうことだ。伝統的にJOC役員の職はボランティアであり無報酬であった。故に無私の精神でスポーツ振興に尽くすという伝統を覆さなければならない。その歴史を変えることは一大事である。