平幕・阿炎が逆転で初賜杯! 28年ぶりの巴戦が見応えゼロの九州場所を救った
「面白かったですね。何度も賜杯に挑戦しながらかなわなかった高安は残念ですが、貴景勝は大関としての意地を見せたし、阿炎も力強い相撲だった。一年の締めくくりという意味では素晴らしかったと思います」
こう話すのは好角家の菅野宏三氏(ビジネス評論家)だ。
27日、平幕・阿炎(28)が混戦の九州場所を制し、自身初優勝を飾った。千秋楽のこの日、2敗の高安が勝てば賜杯を手にしていたものの、本割で阿炎に惨敗。阿炎と貴景勝が3敗をキープし、1994年の曙、貴ノ浪、貴闘力以来となる28年ぶりの巴戦となった。
最初に行われたのは本割の再現、高安-阿炎戦。立ち合いの当たりで高安が脳振とうを起こしたか、朦朧としているところをはたき込まれて土。一方、阿炎は続く貴景勝を力強い突き押しで攻め、2連勝。この時点で阿炎の優勝が決まった。
インタビューでは、「迷惑しかかけてなかったので、少しでも喜んでくれていたら」と、師匠の錣山親方(元関脇寺尾)への謝罪と感謝を口にした。コロナ禍で外出制限があった2020年7月場所中にはキャバクラ通いがバレ、3場所出場停止処分。協会には受理されなかったが、引退届も提出した。そこからの復活劇である。とはいえ、阿炎本人の事情は別にして、今場所が巴戦に救われたのも、また事実だ。