「金星はこれを最初で最後にしたい」公約を守った朝乃山に“2度目”の可能性
大相撲の用語には野球、囲碁・将棋、古典芸能などの言葉とともに、一般化したものが多い。しばしば拡大解釈や誤用も広まり、「金星」「横綱相撲」はその代表格だ。
先のサッカー・ワールドカップで日本がドイツを破った時は、メディアが「大金星」と騒いだ。大会前の世界ランクは日本が24位だから、まあ平幕だが、ドイツは11位。「サッカーの番付は横綱が11人もいるのか」と、つい突っ込むのが相撲記者の悪い癖である。
2019年秋場所5日目、西前頭2枚目の朝乃山が鶴竜(現親方)を破って初金星を挙げた。出足を止めずに左上手をつかんで寄り切り、「自分の相撲で横綱に勝てた」と喜んだ。
2場所前の平幕優勝で一躍注目を集め、横綱戦は3度目の挑戦で初めての金星だったが、喜ぶとともにこうも言った。
「金星はこれを最初で最後にしたいです」
大相撲では平幕力士が横綱を倒した場合(不戦勝や相手の反則負けは除く)だけを「金星」という。関脇や小結が横綱に勝っても金星ではない。