牧田和久(1)13年台湾戦 日本を救った“決死のダイビング”を国際大会のスペシャリスト語る
「アウトの取り方はとても大事」
2次ラウンドの台湾戦では決死の守備で日本を救った。3-3の同点で迎えた九回裏、無死一塁。1番・陽岱鋼のバントが小フライになると、打球めがけてダイビング。着地した際にグラブをはめた左手首をひねりながらもボールをこぼさず、ピンチの芽を摘むビッグプレーとなった。
「勝手に体が反応しました。実は社会人(日本通運)時代、10年ドラフトで西武から2位指名された直後の日本選手権・大阪ガスとの試合でも、同じようにダイビングして、担当のスカウトさんに『ケガをするからやめてくれ』と叱られたことがあったんです(笑)。あの場面、状況によってはあえてショートバウンドで捕って、併殺を取りに行くケースもあります。でも、同点の場面で相手は後攻。走者を進めるよりは一つでも多くのアウトを、と思っていました」
この回をゼロで抑えたことが延長十回の中田(日本ハム)の勝ち越し犠飛を呼び込み、勝利へとつながった。
「自分自身はズバぬけたものを持っていませんから、投げるときは『9人目の野手』として、何とか一つでもアウトを取りたい。加えて、アウトの取り方はすごく大事だと思っています。守備でのいい流れは、攻撃に伝わると思いますから」
一つのアウトに対する強い執着心は、2大会連続出場となった17年大会でも存分に発揮された。 (つづく)
▽牧田和久(まきた・かずひさ) 1984年静岡県生まれ。静清高、平成国際大、日本通運を経て2010年ドラフト2位で西武入団。1年目の11年に新人王を獲得。18年米・パドレス移籍。20年から楽天、22年は台湾・中信兄弟。同年限りで現役引退。日本通算345試合、55勝51敗27セーブ78ホールド、防御率2.81。WBCは2大会通算8試合、2勝3セーブ、防御率2.00。