秋山翔吾は強化試合で右足小指骨折も…小久保監督からオランダ戦スタメンを告げられた
ところが、小久保監督はこう即答したという。
「『無理じゃないなら残す。そう決めた以上、ケガ人という見方はしないからな』と。僕は『監督がそう言ってくださるのなら頑張ります』と答えました。意気に感じた一方で、正直なところ、レギュラーじゃないから何とかなる、という思いもありました。それが……」
2次ラウンド初戦の相手は強豪のオランダ。米国ラウンドの準決勝に進むためには、最も重要な一戦になりそうだった。
指揮官からは続けざまに、こう告げられた。
「明日の先発が、ソフトバンクのバンデンハークになったら、パ・リーグの投手だから戦ったことがある選手がほとんどいない。足を使える選手を使いたいから、スタメンで頼む」
一瞬、「えっ?」とたじろいだ。17年大会のレギュラーは坂本勇人(巨人)、筒香嘉智(DeNA)らセ・リーグの打者が多かった。バンデンハークとは同じパに在籍していたから対戦の経験はあり、15年は.333、1本塁打をマークした。得意としている感覚はあったが、それにしても骨折の話をしたばかりなのに「足を使いたい」とは……。これは後で知ったことだが、前日にスタメンを告げられたのは自分だけだった。「時間を与えるからケガのケアをしろ。腹をくくれ」というメッセージだと受け止めた。
「指が離れていると痛い」ため、隣の薬指と一緒にテーピングでガチガチに固定し、痛み止めを服用。「8番・中堅」でスタメン出場すると、0-0の二回1死一、三塁の先制の好機で「手足が震えた」と振り返る打席が回ってきた。