佐々木朗希は「25歳」まで4年も待てる? WBCで心身とも急成長“令和の怪物”が海を渡る日
トラウトと記念撮影
メンタル面の成長も見逃せない。大船渡高3年時に夏の県大会決勝の先発を回避するなど、か細いイメージが強かった。
しかし、準決勝では強烈な打球が腹部に直撃するも、秘めたる闘争心をむき出しに。トレーナーを制して続投すると、強気に直球を投げ込んだ。恥ずかしがり屋と言われるが、米国との決勝戦ではダルビッシュと大谷がリリーフ登板した際、ベンチの外に出るなどして、大声で鼓舞した。
かねてのメジャー志向はいよいよ強くなった。決勝戦の試合前にはトラウト(エンゼルス)やゴールドシュミット(カージナルス)らバリバリのメジャーリーガーたちの打撃練習を観察。メジャーの一流レベルを目に焼き付け、「僕的には大谷さんが一番だと思った」と話した。
試合後にはダルビッシュ、大谷とともに、トラウトとも笑顔で記念撮影した写真を自身のインスタグラムにアップ。「スーパースターの皆さんとまた一緒に野球ができるように頑張ります」とコメントした。
「米国滞在時はロッテにいるときよりも、前向きなコメントが多かった」とは、放送関係者。
「『自分のパフォーマンスはある程度発揮できたと思う』とか、『凄い選手との試合をして、プレーを間近で見ることによって、見方、感じ方が変わった』とも話していた。準決勝後の会見では『近い将来、メジャー移籍の考えはあるか』と米国の記者から直球の質問を受けた。いつもなら『まずは日本でしっかりやってから』と多くを語らないが、『時期より、まずは日本でしっかりプレーして、その先に見えてくると思う』と、やや突っ込んだ発言をしました」
侍ジャパンの投手コーチを務めたロッテの吉井監督もこう言う。
「世界大会を経験し、いろんな価値観が変わったと思う。本人に聞いてみないとわからないですが、見た感じでは悪い言い方をすると傲慢になってきた。いい意味で言うと自信が出てきたと思う」
心身で成長を遂げ、いよいよ本格化の兆しを見せている。年間通して先発ローテを守ることができれば、15勝どころか20勝してもおかしくないだろう。
そうなると、メジャー挑戦の時期が早まる可能性も十分にある。現行ルールでは、海外球団の所属選手がメジャー契約を結べるのは25歳以降。佐々木のメジャー挑戦は早くても4年後の27年になるとみられている。
しかし、WBCを通じて実際に憧れの地でプレーし、自信がつき、スーパースターたちと触れ合った。本人の中でメジャーでプレーしたい気持ちが風船のように膨らんだのは想像に難くない。
メジャーへの注目度が高まる中、今オフは山本(オリックス)や今永(DeNA)ら侍メンバーのメジャー移籍ラッシュが予想される。今季の活躍次第では、日本のファンの間で、メジャーで投げる姿を見たい、という機運が高まるのは必至。「令和の怪物」が海を渡るタイミングはそう遠くないかもしれない。