オリックスV3どころかV4も濃厚…来季山本由伸が抜けても揺らがない“西武級常勝チーム”を構築する面々

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下位指名、育成も開花させる名スカウト

 先発ローテも30歳以上はこの日先発した山崎福(31)のみ。宮城(22)、山下(21)、東(23)と25歳以下のフレッシュな面々がチームを牽引している。球団OBが言う。

「福良GMが監督を退任し、育成統括マネジャーに就任した2018年オフ(GM就任は19年5月)から3年連続で高校生を1位指名。21年は1位の椋木蓮ら大学、社会人重視のドラフトになりましたが、22年は2位で内藤鵬(日本航空石川)、3位で斎藤響介(盛岡中央)とこちらも素材重視で高校生を上位指名した。さらに、20年6位の阿部翔太(30)、21年7位の小木田敦也(24)ら、下位指名で獲得した社会人出身選手が活躍するケースが多いのも特徴です」

 育成出身選手の台頭も目立つ。

侍ジャパン入りしたリリーフの宇田川優希(24=20年育成3位)が代表格で、今季も前半戦は二軍暮らしが続いていた東(17年育成2位)が7月末に今季初勝利をマークすると、そのまま無傷の6連勝とブレークした。神戸弘陵高時代は70キロと線が細く、椎間板を骨折していたため、多くの球団が手を引いた。しかし、オリックスだけは体ができればプロで通用する球を持っている、と判断。プロ入り後は故障に泣いた時期もあったが、90キロまで増量し、体も出来上がった今、球速はMAX155キロまで伸び、スカウトの見立て通りの活躍を見せている」(アマ担当記者)

 卓越したスカウティング力を背景に常勝チームを構築する中、他球団のスカウトも一目置くのが牧田勝吾編成部副部長(49)の存在だ。牧田副部長は27歳だった01年、日通名古屋からドラフト11位でオリックス入り。7年間プレーした後、スカウトに転身した。

「福良GMとスカウト戦略を練る要職を担い、今も全国各地を飛び回って選手をチェック。活躍した選手の母校や会社にまでわざわざ足を運んで、監督にお礼参りをするなど、指名後のケアやパイプの強化も欠かさない。自身が高齢かつ下位指名で入団し、プロで大活躍できなかったこともあり、選手を色眼鏡で見ず、さまざまな可能性を見いだそうとする。だから、オリックスは下位指名選手や育成から一軍で活躍する選手が多い。実際、牧田副部長が担当した選手も、この日、スタメン出場した中川圭太(27=18年7位)、西野真弘(33=14年7位)ら下位指名が少なくない」(球団OB)

■投手のフォームにメスを入れるトレーニングコーチ

 こうして発掘した選手を、中嶋監督と小林二軍監督が密に連携を取り、花を咲かせている。

「リーグ断トツのチーム防御率2.63を誇る投手陣は、山崎颯一郎(25)ら150キロ以上の直球を持つ速球派投手がゴロゴロいる。これは、中嶋監督が全幅の信頼を寄せる中垣征一郎一、二軍巡回ヘッドコーチの存在が大きい。中垣ヘッドはあのダルビッシュ(パドレス)も信頼を置くトレーナーで、日本ハム、パドレスでの指導経験がある。個々の選手に沿ったトレーニングメニューを作成して自主性を促し、高卒選手は筋トレを中心に強化。宇田川は二軍時代、体重移動がうまくいかず、制球を乱すことが多かったが、中垣ヘッドはフォームにメスを入れて成長をアシストした。普通、トレーニングコーチは投球フォームまでタッチしませんが、中嶋監督はこれを容認。個々の選手の特徴に合わせた効率的で一貫した指導が可能になりました」(同)

■「スカウティングと育成」で黄金期へ

 仕上げは中嶋監督のマネジメント力だ。

「主催試合の際は球場に一番乗りして監督室にこもる。試合前練習に出てこない時もあるくらい。故障者や不調に悩む選手と直接対話し、二軍の試合をパソコンでチェックして小林二軍監督と密にコミュニケーションを取っている。目についた選手を一軍に抜擢するだけでなく、昇格したその日に起用する。選手の立場からすれば、仮に活躍できなくても、二軍でしっかりやっていれば一軍でチャンスをもらえるため、モチベーションを維持しやすい。今季は吉田正尚がレッドソックスへ移籍しての3連覇。今オフは山本のメジャー挑戦が確実視されていますが、来季、山本がいなくなっても4連覇を狙える環境は整っています」(在阪放送関係者)

 中嶋監督はかつて西武が達成した5連覇について、「そこにチャレンジできるチームだと思っている」と言い切った。来季、ライバル5球団はオリックスの背中がますます遠のきそうだ。

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