全豪OPは初戦敗退も…時代は大坂なおみを「多様性の女王」として必要としている
「ウィンブルドンはアラブ諸国から放映権料を取らない。イスラム圏でもテニスを普及させたいからです」
1980年代までのテニスは西側諸国のものだった。冷戦後、旧社会主義国が勢力を伸ばし中国が台頭し、イスラム圏の女子はまだ少ないが、チュニジアのジャバーがウィンブルドンで2度準優勝……テニスは常に古い価値観を覆して成長し、大坂なおみはその追い風に乗っている。
父はハイチ人、北海道生まれの母は黒人と結婚したため勘当され、3歳で渡米。国際性豊かな(まれな)日本人──国内では評価されないが、この大坂ブランドの評価は高い。1試合もせず21億6000万円の年収は、変わろうとしている時代の流れにマッチしているからだ。
試合後、これから積極的に大会に参加すると語った。どこに行っても歓迎されるだろう。肌の色や言葉だけでなく、母親であること、仮に離婚しても、時代はますます彼女を求める。
〈オリンピックで日の丸を〉なんてちっちゃな話ではない。日本協会や、その権威にしがみつくレトロマスコミなど気にしない奔放さ──新しい日本人像としてその行方に注目する。
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武田薫氏による本コラム「スポーツ時々放談」では、スポーツ界の様々な時事ネタに切り込んでいく。下記関連記事はすべて同コラム。