アジア杯現地ルポ 石井正忠監督率いるタイ代表の2026年W杯出場は極めて難しい
■いきなりスパチャイまさかの2ゴールで勝利
初戦は(恐らく繰り上げ招集されたであろう)スパチャイのまさかの2ゴールに助けられての勝利であったが、流れの中での崩しが貧弱だった。 これは2戦目も同じ。違いを生み出せたのは、代表キャップが100試合となったティーラトンの左底位置から繰り出されるキックしかなかったように筆者には見えた。 ただ、就任間もなかった新監督としては、前回大会に続くノックアウトステージ進出を掴み取れれば、合格ラインに達すると言って良いだろう。
タイ国民の期待値は高まるばかりだが、それとは裏腹に近年のタイサッカー界の停滞ぶりは、見ていて残念でならない。
決定権を持つ者たちは、チームを強くしたいと思っているようには見受けられるが、個の技量ありきで人選を行う。またオーナー自身が陣取るベンチには、自らの意見で取り込める指導者を従えたがることも少なくはない。 こういった風潮が、いまだにクラブでも代表チームでも行われていることが、強化の進まない要因のひとつだと考える。