ケガが続いて「本当の松井大輔」を呼び戻す作業に注力した
しかし、11年はアジア杯(カタール)での負傷が響き、出場は15試合ほど。クラブは不振を極めて経営問題も重なり、プロ契約選手を保有できない4部に降格。「移籍金なし」でクラブを離れることができた。
「この状況がもう1年早かったら……」と悔やんだが、サッカーの移籍話はタイミングがすべて。
気を取り直して翌シーズンはフランス1部のディジョンへ行ったが、事実上の戦力外扱いを受ける。
苦悩する中、12年夏には、ブルガリアのスラビア・ソフィアに環境を変える決断を下した。
「ケガが続いていたので『本当の松井大輔』を呼び戻す作業に注力しました。グルノーブルに戻った頃に(女優の加藤ローサさんと)結婚し、ディジョンにいた時に上の子が生まれたんですが、妻は乳飲み子を抱えた状態でブルガリアについてきてくれたのもありがたかった。赤ん坊を抱えた僕らにとっては不安もありましたけど、ソフィアは治安が良かった。難しい状況でも前向きに楽しんでくれる妻に助けてもらえました」と心からの感謝を口にする。