松山英樹「最後の五輪」で悲願成就…理想主義者が捨てたプロセス、溢れ出た「本気度」と「らしくなさ」

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珍しく悔しさを露わにして顔を歪めた

「松山は理想主義者なんです。自分のイメージした弾道を追い求め、例えばスイングを100分割した写真を一枚一枚すべて説明できるほど、スイングに理論と理想を持っている。だから、グリーン外からのチップインやミスショットがピンそばに寄ってのバーディーをよしとしない。バーディーの取り方、4日間72ホールの戦い方、勝ち方の青写真があり、そこに強いこだわりがある。

その点を記者に話しても理解してもらえないと思っているから、胸の内を明かそうとしない。それがプレー後のインタビューではぶっきらぼうというか、丁寧さに欠けると不評なのです。そんな松山が8アンダーで首位発進した初日、『内容はどうでもいい。今週は結果が出れば』と言った。要する、理想のプレーにこだわらず、泥臭いゴルフでもいいから勝ちたいということ。そんな発言は初めて聞きました。それだけ、今回の五輪に懸けていたのでしょう」

 18番のバーディーパットがカップに蹴られると、珍しく悔しさを露わにし、顔を歪めた。テレビ解説を務めた佐藤信人プロが「珍しい」と驚くほどだった。

 米ツアー9勝、2021年には日本人悲願のマスターズに優勝。押しも押されもせぬ日本のエースも、「現状」を考えれば、それも納得できる。

 来年2月で33歳になる松山は、次回の28年ロス五輪は36歳で迎えることになる。これまで腰や背中、首の痛みに苦しめられ、今季は「古傷」の手首痛も出た。満身創痍の上、昨今の若手の急成長を考えれば、おそらく五輪は今回が最後になるのではないか。

「五輪のゴルフは4大メジャーとは違い、ゴルフに興味がない人も優勝争いをすればテレビ中継を見ます。今回の五輪で金メダル、最悪でもメダルを取ることは自分のためだけでなく、次世代や日本のゴルフ界にも多大な影響を与える。一方で、プロゴルファーはメジャー優勝が最大の目標であるとはいえ、五輪に関する情報は他の競技に比べて明らかに不足していた。松山が日本ゴルフ協会(JGA)のサポート体制に対し『もうちょっとしっかりしてもらえたら』と苦言を呈したのは、自分のことより、次回以降、若い選手が出場したときのことを考えてのことでしょう」(前出関係者)

 気の早いファンは、「4年後のロサンゼルス五輪こそ金メダルを」と、願うだろうが、松山出場の可能性は極めて低い。

  ◇  ◇  ◇

 そんな松山は、どのような少年時代を過ごしてきたのか。周辺取材を行うと、「意外な素顔」が見えてきた。中学時代によく世話を焼いた恩人が明かす「回転寿司50皿」のエピソードとは、いったいどんなものなのか。

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