《藤本博史の巻》球団「怖い人トップ3」だけど、こまやかに気を使う人情家
こまやかに気を使える人情家でもあり、南海時代は裏方の待遇改善を球団に直訴したこともあります。二軍監督時代はこんなことがありました。
一軍もそうですが、二軍もシーズン開幕戦などは監督がファンの前で「みなさん、本日はお集まりいただき……」などのスピーチをします。その時の言葉遣いに間違いはないか推敲を重ね、予行演習までやっていました。「いまからしゃべるから、聞いとけ」と僕の前で原稿を読みながらスピーチをする。僕が「いいんじゃないですか」と言うと、今度は別のスタッフにも「ちょっと聞いてくれ」と、繰り返す。
いざ本番では原稿を見ずにしゃべるので、飛ばしてしまう箇所もあり、「あー、飛ばしてもうたわ」と頭を抱えていることもありました。
指導も強引一辺倒ではなく、要所で「動きながら打ってもダメ。止まって打たなきゃ意味ないやろ」と親身にアドバイスをしたり、自ら打撃投手を買って出ることもありました。しかも、右利きなのに左腕で投げることもあるなど、器用な面もあります。
一軍監督としては優勝を果たせませんでしたが、藤本さんが起用し、育てた選手が今季の優勝に貢献したことは確かでしょう。
次は日本シリーズ4連覇を果たした工藤公康さんの話です。