負けたら辞める一軍コーチ、所在があやふや二軍コーチ…決定的な違いは「責任」の有無
一方で一軍の打撃コーチの仕事は、あくまで試合のための準備のサポート。調整係である。キャンプのメニューは考案するが、シーズンが始まれば、一軍のレギュラーには各自のルーティンがあって、自分でやることを決めている。もし「明日、早出練習に付き合ってください」と言われれば、全力で付き合うが、コーチ側から強制することはまずない。一軍の主力の調整や練習法に、コーチがあれこれ言う環境ではないということだ。一緒に打撃フォームの映像を見て意見を交換したり、求められた時に効果的なアドバイスができるかである。
ただし、一軍は一軍でも「一軍半」といわれる若手に、これは当てはまらない。早出に指名したり、強制的にやらせることもある。
一、二軍の監督、コーチの決定的な違いは「責任」を取るか否かだ。一軍が優勝を逃した場合は、監督のクビが危ない。打てなくてV逸したら、打撃コーチが責任を取って辞めるケースもある。
二軍の試合の目的は「育成」。あるいは一軍選手の調整の場でもある。一軍に昇格した際には、勝つための役割があるため、その教育をすることはあっても、二軍のコーチが勝敗の責任を追及されることはない。責任の所在があやふやなのだ。もちろん若手を育てたといわれるコーチはいるが、監督を含めた二軍の首脳陣は、選手が迷わない指導をすることが最も大切である。