「官能教育」植島啓司氏
現在の一夫一婦制や貞操観念は19世紀のビクトリア朝の抑圧された性道徳観念が源だ。日本では明治期にその概念が入った。それ以前は誰もが自由で束縛のない恋愛を謳歌していたという。
「恋愛を性急にセックスや挿入、婚姻に結び付けるからいけないんです。本来、恋愛にはもっと豊かな過程があるはず。英語では“フラート(flirt)”という概念があります。相手に好意を持ち、視線のやりとりや注意を引く行為ですが、日本語にはフラートに対応する言葉がない。すべてを恋愛や不倫という言葉でひとくくりにすると、重くて楽しめなくなるでしょう?」
女性は自由かつ積極的に恋愛を謳歌するようになったが、男性はどうか。
「恋愛を楽しんでいる男は0.5%程度。つまり一極集中で、多くの男は保守的で依然として変わっていません。女性と並走しているつもりでも実は周回遅れ(笑い)。妻から邪険に扱われ、楽しくないけれど、冒険もしない。地位やプライドに固執していても老けるだけです。年齢の7掛けくらい、50歳なら35歳の気持ちでいれば恋愛を楽しめるはずです」