震度6以上ではガスの火を消せはNG?
防災グッズの準備など、震災後を生き延びるための対策を講じることは非常に重要だ。しかし、震災に直面した人の生死を分けるのは、その瞬間の判断と行動だ。
仲西宏之、佐藤和彦著「震度7の生存確率」(幻冬舎 1389円+税)では、これまでの防災関連書籍とは一線を画し、“地震発生の瞬間”にフォーカス。生き残るためにとるべき行動について、クイズ形式で解説している。
クイズでは、質問の条件すべてで震度7の揺れを前提としている。気象庁では震度6以上になると「立っていることができず、這わないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある」と定めている。震度6以上では、常識と考えていた行動が命を奪う原因にもなることを覚えておきたい。
自宅で調理中に地震が発生。ガスコンロでは煮物をしていて、調理台には包丁が出しっぱなしになっていたとする。そのときの行動で正しいのは、①立ったままでガスコンロの火を消すことに集中する②その場でしゃがんで火を消す③火はそのままでキッチンから離れてしゃがむ④火はそのままで家から出る、のうち、どれだろうか。
もっとも生存率が高いのは、意外にも③なのだという。1997年、経済産業省が全戸にガスのマイコンメーターの設置を義務化したことで、現在は震度5強を感知するとガスの供給は自動停止される。つまり、震度6以上の揺れの中でガスコンロの火を消すという動作は、かえって生存確率を下げるのだ。②のようにキッチンでしゃがむと包丁や熱した鍋などが飛んでくるし、④もドアに挟まれたり転倒の危険性が高まる。もっとも正しいのが、キッチンから離れて転倒物が少ない部屋でしゃがみ込むことなのだ。
震度6以上では、机の下に隠れるのもNG。机と一緒に飛ばされて、かえって大けがにつながる。
本書では、地震発生の瞬間にとるべき最も安全な姿勢「ゴブリンポーズ」や、天井の崩壊などからも身を守ることができる室内の「三角形の空間」の見つけ方なども伝授。発災時を生き残る知識、覚えておきたい。