「魂でもいいから、そばにいて」奥野修司氏

公開日: 更新日:

「突然の別れはつらいものですが、とりわけ津波という不可抗力によって、ましてや遺体が見つからないとなると、その悲しみは計り知れません。心の区切りは決してつかないけど、霊体験をして魂の存在を感じると、亡くなった人がそばにいる感覚になる。そばにいて自分を見ていると感じるから、もうちょっと頑張ろうかと生きる希望につながるんですね。実際、あの体験がなかったら生きていられなかったという人もいました。つまり、死者とのコミュニケーションである霊体験は、最高の癒やしになるんですね」

 自分が納得できる物語が作れたとき、残された人は初めて生きる力を得る。そして、人に語ることでその物語は完成する、と著者は考える。ところが、その物語を体験者の多くは、家族以外に話していない。信じてもらえないと傷つくからだ。

 著者も「本当のことだからね、信じてよ」、あるいは「聞いてもらえてホッとした」と何度となく言われたそうだ。

「悲しみは受け止める人がいて初めて悲しめるんです。一人だとこらえるしかない、ということを取材を通して改めて感じました。不思議な体験を非科学的だと否定するのではなく、悲しみを抱えた人の声に耳を傾ける社会であれば、残された人たちはもう少しラクだったかもしれません」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走