「木足の猿」戸南浩平著
明治9年、左足に木製の義足をつけた元武士の奥井隆之は、17年前から幼馴染みの水口修二郎を殺した矢島鉄之進を捜していた。
そんな折、たまたま知り合った怪しげな男、山室玄蔵に声をかけられる。そのころ、異人が何者かに襲われて首を切られ、生首をさらされるという事件が続いていた。グレイというイギリス人法律家を斬った男が矢島だった。その矢島捜しを手伝えばグレイの義母から謝礼として10円もらえるのだ。
義母の話では、グレイは5年前に上海で起きた殺人事件を調べていたという。
武家社会が崩壊した後も友の敵を追い続ける男を描く、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。(光文社 1500円+税)